シトロンインコについて
洋菓子でよく用いられる柑橘系の果実「シトロン(枸櫞)」を和名にもつインコ、シトロンインコ。
南米アンデス地域に分布する小型インコで、基亜種のオスは特にシトロンを感じさせる色合いです。
最近では同属のユウギリインコを引き合いに語呂の良い俗称で「アサギリインコ」とも呼ばれていますが、標準和名は「シトロンインコ」です。
以前はサザナミインコの仲間とされていましたが分離して別属です。
シトロンインコの基本情報
分類:Psilopsiagon ユウギリインコ属 学名:Psilopsiagon aurifrons 和名:シトロンインコ 俗称:アサギリインコ 英名:Mountain Parakeet , Golden-fronted parakeet スペイン名:Catita Frentidorada オランダ名:Katharinaparkiet ドイツ名:Zitronensittich フランス名:Toui à bandeau jaune イタリア名:Parrocchetto montano チェコ名:papoušíček citronový ポルトガル名:Periquito-da-cordilheira 中国名:山鹦哥, 高山鸚哥 亜種:有4 Psilopsiagon aurifrons P. a. robertsi P. a. aurifrons 基亜種 P. a. margaritae P. a. rubrirostris 性的二型:オスは黄色が顔面部などに広く現れ、メスは黄色が弱い。 Size:17-19cm 45g クラッチ:3-7 足輪:4.5-5.5mm 分布:南アメリカ|アンデス山脈地域 原産国:ペルー,ボリビア,アルゼンチン,チリ CITES:Appendi II IUCN REDList : Least Concern![]()
シトロンインコの亜種
基亜種を含めた4亜種に細分類されています。
下記に記す表記順列は、分布域の北~南側の順です。
Psilopsiagon aurifrons robertsi ペルーマラニョン川渓谷に生息。 基亜種に似るが全体的に色が濃い。 オスは基亜種のメスと似た容姿だが鼻元の黄色は濃い。 Psilopsiagon aurifrons aurifrons ペルー中央部から西側へかけて生息。 基亜種。 全体的に色が明るい Psilopsiagon aurifrons margaritae ペルー南部~ボリビア西部,チリ北部、アルゼンチン北西部のアンデス山脈。 大型で尾が短いく、全体的に若干くすんだ緑色 和名は俗称として「タカネシトロンインコ」。 高根鷸駝鳥などのアンデス高山を意味する高根(高嶺)。のはず Psilopsiagon aurifrons rubrirostris アルゼンチン北西部のカタマルカとコルドバ周辺とチリに生息。 マルガリータと似ている。 黄色い羽は殆ど無く、♂のクチバシはピンク色で♀はくすんだ色。 和名は俗称として「アカハシシトロンインコ」 撮りそこねたのですがLPFにはPsilopsiagon aymara rubrirostrisが居ました。しかしこれはPsilopsiagon rubrirostris rubrirostrisの誤りで、過去にはユウギリ側の分類だったのかもしれません。 こちらで4亜種の写真を公開されています。
枸櫞インコ
フルーツのシトロンは「ミカン科ミカン属の柑橘系」です。
wikipediaによるとミカン属はシトラスCitrusで、その26種の1つがシトロン。
特に基亜種のオスは明るく映える緑色と黄色い羽色でまさに柑橘系を彷彿します。
但し、メスや他の2亜種には黄色が殆ど無く、派手さもありません。
欧州など多くの国は「シトロンインコ」の意味で名付けており、和名でも翻訳せずそのままシトロンインコと名付けています。
近年は誰が呼び始めたのか「アサギリインコ」と呼ばれる事が多い印象ですが、由来が同属のユウギリインコに対して語呂合わせだとしても、ルーツがわかりません。
おそらくアサギボウシインコやホオミドリアカオウロコインコのように動物商あたりの独自名付けだろうと思うのですが、その裏が取れていません。
個人的にはアサギリインコの響きは大好きなのですが、正式名が掻き消さるのもどうかと思いますのでシトロンインコ優先にしたいと思います。
世界的には「見た目由来のシトロン」と「原産地由来」の2つの名付けにわかれています。
英名は「Mountain parakeet」で、中国語名は「山鹦哥」なのですが、この山は原産地のアンデス山脈の事です。他の多数の種も当てはまるので説得力には掛けますが…
シトロンインコの主となる生息地は南米アンデス山脈の「Puna grassland(プナ草原)」と呼ばれる乾燥した潅木地帯です。
生息標高は1000〜3,000mで、夏場には4,500mでも確認されているそうです。
ペルーからチリやアルゼンチンまで南米の南北に広い生息域をもち、4亜種に分類されていて、場所によってはユウギリインコとも被っています。
信憑性は不明なのですが、亜種「P. a. margaritae」が4,500級の高山で見られたという「タカネシトロンインコ」なのだろうと考えています。
タカネは高根で高嶺と同意です。タカネの名が付くアンデスの鳥は他にも数種いるので同じ由来でしょう。
亜種の「タカネシトロンインコ」や「アカハシシトロンインコ」が「タカネアサギリインコ」と呼ばれないならアサギリインコは使いにくいですね。
ただ、昔の亜種和名も標準和名とは思えないものが多く、その取捨選択も主観になってしまうため、しっかりした根拠ある規定で再命名してもらいたいところです。
以前は、ユウギリインコとシトロンインコはサザナミインコ属の仲間だと考えられてました。
現在は新しい分類「Psilopsiagon|ユウギリインコ属?」にユウギリインコとシトロンインコの2種で分離昇格しました。(国際鳥類学会では2012年)。

属名「Psilopsiagon(プシロプシアゴン)」の由来は
ギリシャ語の「psilos」→英「naked」,「siagon」→英「jawbone」
裸の顎骨?ニュアンスがよくわかりませんが、ユウギリインコの喉色の特徴でしょうか?
矮小名の「aurifrons(アウリフロンス)」については
ラテン語の「auri(aurum)」→「gold」,「frons(forehead)」→「front head」
黄色い頭で、英名の別名「Golden-fronted parakeet」はそのままの名付けです。
平均サイズはユウギリインコより少し小さいパラキート体型。
ヨーロッパの過去のデータには、環境適応能力に乏しくストレスに非常に弱いため輸出入に耐えられないとか、ビタミンD3欠乏症になりやすいとあります。
個人的な印象はそれとは随分違って、ユウギリインコほど短気でもなく、鳴き声も小さく良い手乗りインコになる要素は大きいです。
以前はBolborhynchus(サザナミインコ属)とされていましたが
新分類Psilopsiagon(ユウギリインコ属?)へ独立。
サザナミインコ属(Bolborhynchus)は5種から3種へ
サザナミインコ Barred Parakeet Bolborhynchus lineola
クネンボインコ Andean Parakeet Bolborhynchus orbygnesius
チャビタイインコ Rufous-fronted Parakeet Bolborhynchus ferrugineifrons
ユウギリインコ属(Psilopsiagon)は2種
シトロンインコ Mountain Parakeet Psilopsiagon aurifrons
ユウギリインコ Sierra Parakeet Psilopsiagon aymara
シトロンインコは4亜種
P. a. aurifrons
P. a. margaritae
P. a. robertsi
P. a. rubrirostris